2024/11/01
こんにちは、アイビー歯科クリニック院長の船戸です。
歯科医院で使用するレントゲンは、診断や治療計画を立てるうえで重要な役割を果たします。歯の状態
や顎の骨の状態、虫歯の進行具合などを確認するために用いられますが、患者さんの中には「レントゲ
ンには放射線が含まれているため、健康に害があるのではないか」と不安に感じる方も少なくありませ
ん。確かに、レントゲンには放射線が使用されていますが、歯科のレントゲンで被曝する放射線量は非
常に少なく、安全性が高いとされています。ここでは、その理由について詳しく説明します。
まず、歯科のレントゲンで使用される放射線量についてです。一般的な歯科用のデンタルエックス線撮
影(口内法やパノラマ撮影)は、体全体に比べて非常に局所的な部位のみを対象に撮影するため、全身
が被曝するわけではありません。例えば、一般的なパノラマレントゲン撮影で被曝する放射線量は約
0.01~0.02ミリシーベルト(mSv)とされており、これは日常生活において自然に浴びる放射線量(1
年間で約2.4ミリシーベルト)のわずかな一部にすぎません。また、1回の飛行機旅行や自然環境から受
ける放射線量と比較しても、歯科のレントゲンで受ける量は非常に少ないと言えます。
次に、歯科用レントゲン装置の技術進歩により、放射線の安全性がますます向上していることが挙げら
れます。現在の歯科用レントゲン装置では、放射線量を最小限に抑えるための工夫がなされています。
例えば、デジタルレントゲンは従来のフィルムレントゲンに比べ、放射線量を約1/4~1/5程度まで削減
することが可能です。また、患者さんが装着する鉛エプロンなどの防護具も使用され、身体への影響を
最小限に抑える配慮がされています。これにより、必要最小限の放射線量で診断に十分な情報を得るこ
とができるようになっているのです。
さらに、歯科のレントゲン撮影は医師の指示のもと、必要なときにのみ行われます。むやみに撮影され
るわけではなく、患者さんの状態に応じてリスクとベネフィットを考慮した上で撮影が判断されます。
例えば、虫歯が疑われる場合や親知らずの位置確認、歯周病の進行具合など、視診や触診では確認が難
しい部分について正確な情報を得るために、レントゲンは欠かせない手段です。歯科医師は、レントゲ
ンによって得られる情報が患者さんの治療に大きく役立つと判断した場合にのみ使用を勧めており、不
必要な放射線被曝を避けるための配慮がなされています。
また、歯科レントゲンによる被曝のリスクは、非常に低いとされています。国際的な放射線防護の基準に基づき、歯科用レントゲンの放射線量は健康リスクがない範囲に設定されています。放射線は非常に
微量であり、その影響は細胞の自然な修復機能で十分にカバーできる程度とされています。したがって
、歯科のレントゲンで受ける放射線が健康に悪影響を及ぼす可能性は、極めて低いと言えるでしょう。
以上のように、歯科のレントゲンは被曝量が非常に少なく、安全性が高いことがわかります。放射線に
対する不安は理解できますが、歯科医師は患者さんの健康を第一に考え、必要な場合にのみレントゲン
撮影を行っています。歯の健康を守るためには、早期発見・早期治療が重要です。歯科レントゲンはそ
のための大切な手段であり、患者さんが安心して利用できるものですので、今後も安心して歯科治療を
受けてもらえればと思います。