EBMに基づく歯科治療とは

 

医療法人社団博愛会ドクターブログ

札幌市豊平区の歯医者、アイビー歯科クリニックと平岸駅前こまち歯科のドクターによるブログです

EBMに基づく歯科治療とは

こんにちは、2022年4月より栄町駅前こはく歯科院長に就任いたしました、常勤ドクターの西潟です。地域の患者様に愛される歯科医院を目指して、日々研鑽を積んでいきたい所存です。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、本題に入りますが、昨今の医療はEBM(Evidence based medicine)、根拠を基に診断や治療を進めていくことが主流となっています。その根拠として扱われることが最も多いものの一つが、ガイドラインというものです。これは様々な学会がデータを収集して、現在の医療として最も適切だと考えられることを要約した読み物です。歯科治療に関するガイドラインも複数、作成されており、今回は日常の歯科治療にまつわるものをトピックとしていくつか紹介させていただこうと思います。

 

 

1. 血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方

例えば、不整脈や弁膜症による心臓病や脳梗塞の治療薬として、このようなお薬を内服されている方がいらっしゃいます。歯科治療を進める上で心配なのが、抜歯が必要と判断された場合です。多くの場合は、そのようなお薬を処方してくれている内科等の先生に紹介状などのお手紙を準備させてもらった上で、ガイドラインに則って抜歯の段取りを進めていく形になることが多いです。

抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン 2020年版より

 

 

2. 骨粗鬆症や自己免疫疾患のお薬を飲んでいる方

骨粗鬆症と診断された方は骨を強くするためにビスホスホネート製剤と呼ばれる種類のお薬を内服することがあります。また、自己免疫疾患と診断された方はステロイドと呼ばれるお薬と一緒にビスホスホネート製剤を内服することがあります。このお薬を飲まれている方は、抜歯などの歯科治療の後、傷口の治りが悪いことがあります。整形外科や内科の先生と手紙などでやり取りさせてもらった上で、歯科治療を進めていくことが多いです。リスクが高い抜歯などの場合は、紹介させていただくこともあります。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー(改訂追補 2012 年版)より

 

 

3. 非歯原性歯痛とは

歯痛の症状があるにも関わらず、歯が痛みの原因ではなく、歯痛と感じられる痛みを引き起こす病気が複数存在することが明らかになってきました。この痛みは歯痛全体の10%弱を占めると推定されており、年間68万本の歯が不要な歯科治療をされているかもしれないという報告があります。例えば、頭痛、蓄膿症、三叉神経痛、帯状疱疹などが原因として挙げられます。当院では、歯の神経の状態を診断する歯髄診断器や、歯科領域をメインとしたCT等、原因を診断する設備が揃っていますので、十分対応可能ですが、高度な歯科治療が必要と判断された場合や歯科以外の範疇が考えられる場合には、紹介させていただくこともあります。