「犬歯誘導」について

 

医療法人社団博愛会ドクターブログ

札幌市豊平区の歯医者、アイビー歯科クリニックと平岸駅前こまち歯科のドクターによるブログです

「犬歯誘導」について

 明けましておめでとうございます。平岸駅前こまち歯科院長の西尾です。今年も宜しくお願い申し上げます。

 今回は「犬歯誘導」について説明させていただきます。ほぼ100%の方が聞いたことない単語だと思いますが、実は歯科治療を行うにあたってとても重要な単語です。この単語について簡単に説明すると、下顎を動かした時に(歯軋りなど)犬歯(糸切り歯)が発射台みたいな役割を行い犬歯以外の歯牙が当たらないような嚙み合わせのことです。

https://www.doctor-map.info/useful/glossary/dental/1291601/

 人間の歯牙にはそれぞれ役割があります。臼歯部(奥歯)は食べ物をすり潰す役割を担っています。それ故、垂直的な力に対しては強い抵抗力を持ちますが、前後左右に揺さぶられる力には弱いです。犬歯は全歯牙の中で、一番歯根が長いです。歯根が長いので、側方力に対して強い抵抗力を持ちます。前歯部も犬歯に似た特徴を持ちますが、犬歯程歯根が長くないので、下顎の前方運動時のみ発射台の役割をするのが理想です。

 このように各歯牙にはそれぞれ役割がありますが、歯列不正、虫歯、咬耗(歯のすり減り)などが原因で、犬歯誘導が失われることが多々あります。犬歯誘導が失われると、過度な負担が歯牙にかかり、歯に小さなひびが入りむし歯になったり、歯根が割れ抜歯になったりします。

犬歯誘導を新たに付与する為には、矯正治療や補綴治療(歯の被せ物)が必要になってきます。また、夜間の意図しない力から歯牙を守る為にナイトガード治療も有効です。

 

今回は少し難しい内容となってしまいました。歯科治療において重要な事は、1本単位で治療を行うのではなく、なぜこのような事になってしまったのかを考え、全顎的に治療を考えていくことがとても重要です。そうしなければ、全ての治療が対症療法となり、長持ちしない治療になってしまいます。

当法人は総合歯科です。様々な分野の専門医、認定医が所属しています。より高度で安全な治療計画を提案することが可能となっています。「歯ブラシ頑張っているのにむし歯減らない」「歯周病がなかなか治らない」などのお悩みがありましたら、ご連絡ください。